シャープの家庭用蓄電池のクラウド蓄電池システム6.5kWhの特長とは

シャープは1935年に設立された電気機器メーカーですが、液晶・半導体事業による大幅な赤字が経営悪化の要因となり、2016年に台湾の鴻海(ホンハイ)グループに買収され日本の企業ではありません。
しかしながら太陽電池においては、2000年には世界で生産量No.1となり、シャープ特約店という全国の販売網を拡充する等、世界や日本の太陽光発電の普及に貢献してきました。
そのため約30万世帯の卒FITユーザーがシャープの太陽光発電システムを設置していると言われています。シャープは、これらのOB顧客に向けて家庭用蓄電システム「クラウド蓄電池システム」を販売していますが、クラウド蓄電池システムには単機能型はなくハイブリッド型のみです。蓄電容量は4.2kWh、6.5kWh、8.4kWhをラインナップとしており、ここでは2020年1月に発売したクラウド蓄電池システムのミドルタイプ6.5kWh(型式:JH-WB1921)の特徴を紹介いたします。

シャープの家庭用蓄電システムのシェアメーカー別出荷台数のシェアは3年連続の首位

2019年11月以降、FIT制度の満了を迎える卒FITユーザーは累計で165万世帯おり、そのうち約30万世帯はシャープの太陽光発電システムを設置しているといわれています。
シャープでは、これらの約30万世帯のFITユーザー向けにOB訪問や、シャープサンビスタメンバー等の販売店とともに全国で月200回を超えるセミナーをいち早く開催して、家庭用蓄電システムの販促に取り組んでいます。その結果、2019年度の家庭用蓄電池システムのメーカー別出荷台数シェア*でも17%と、3年連続でTOP1位を誇っています。*出典:蓄電池専門誌「リチャージ」No.6 株式会社アスクラスト2020年7月発行

シャープの蓄電システムの価格クラウド蓄電池システムのミドルタイプ6.5kWhは260万円で販売

シャープの家庭用蓄電システムの商品名は「クラウド蓄電池システム」です。クラウド蓄電池システムには、コンパクトタイプ4.2kWhと大容量タイプ8.4kWhがありましたが、2020年1月にミドルタイプ6.5kWhが発売されました。その6.5kWhを2台組わせることで13.0kWh大容量化も可能となっています。それぞれの希望小売価格は次のようになっています。

シャープの家庭用蓄電システムの価格

タイプ別 型式 蓄電容量 希望小売価格
コンパクトタイプ JH-WB1621 4.2kWh 178万円
ミドルタイプ JH-WB1921 6.5kWh 260万円
大容量タイプ JH-WB1821 8.4kWh 296万円

同じ蓄電容量の6.5kWhでオムロン、長州産業、京セラで出しているため、これらの蓄電容量1kWhあたりの価格比較を行ってみました。各社40万円/kWhとなって大差はありませんが、蓄電容量が少し大きい田淵電機7.04kWhとを比較すると22.7~19.8万円/kWhと価格が下がりました。シャープの6.5kWhと田淵電機の7.04kWhは共に、停電時の供給タイプは家じゅうのコンセントが使用可能な全負荷となります。

蓄電容量1kWhあたりの価格

メーカー名 蓄電容量(kWh) 蓄電容量1kWhあたりの価格(万円) 停電時供給タイプ
シャープ 6.5 40.0 全負荷
オムロン 6.5 43.5 特定負荷
長州産業 6.5 43.5 特定負荷
京セラ 6.5 41.5 特定負荷

クラウド蓄電システムのミドルタイプ6.5kWhの特長クラウドHEMSサービスで蓄電池を賢くコントロール

AIを活用したクラウドHEMSサービス「COCORO ENERGY」といった、エネルギーを最適制御してくれるAIサービスが特長としてあげられます。また、ハイブリッド型は4.2kWh、6.5kWh、8.4kWhをラインナップとしてありますが、従来は停電時の電気の供給タイプは一部のコンセントしか使用できない特定負荷でしたが、最新の6.5kWhは全負荷となっており停電でも全てのコンセントが使用でき200Vの高い電圧も使用可能なことから停電時の機能も優れている点です。

特長のポイント

HEMSサービスのなかでも、業界初*の「AI雷注意報連携」機能を搭載しています。クラウド上のAIが生活パターンに基づいて停電の間に必要な消費電力量を予測。雷注意報が発令されている間、蓄電池残量をチェックして、必要な電力分だけを自動判断して充電します。既に搭載済みの気象警報に連動した満充電機能に加え、今回の機能では、必要量だけを充電するので、経済性と安心を両立しながら停電に備えられる点が特長です。
また、従来はなかった全負荷型にすることで、停電時でも家じゅうのコンセントが使用でき、200Vの高い電圧の機器も使用できるので、停電時の機能が充実しました。

*気象情報により蓄電池を制御するクラウドサービスにおいて。シャープ調べ。(2020年7月1日)シャープのHEMS(JH-RV11/JH-RVB1)が必要です。

機能1:平常時はAIが余剰電力をしっかりモニタリング 

  • クラウド上のAIが、日射量予報と家庭の日々の電力使用状況から、翌日の太陽光発電システムの余剰電力量を予測。夜間に蓄電池へ充電する際、満充電にせず、予測した余剰電力量分を空き容量として残しておくことで、翌日に太陽光発電システムから発電した電気の余剰分を、効率的に蓄えることが可能になりました。

機能2:AIが予め停電リスクに備えて充電し、停電時は平常時と変わらない生活

  • AIが日々の電力使用量から、停電の間に必要な電力量を予測します。雷注意報発令されると、予測した必要な電力量を蓄電池に充電しておきます。万が一、停電になった場合でも家じゅうのコンセントが使用可能な全負荷でき、IH調理器やエアコンといった200Vの高い電圧の機器も使用可能です。

システム構成機器

品名 形式 設置について
蓄電池本体 JH-WB1921 屋外・屋内*兼用
蓄電池連携型パワーコンディショナー JH-55KF4 屋外設置
蓄電池用コンバータ JH-WD1901 屋外設置

*屋内に設置する場合は別途屋内設置用金具(JH-WBD03)が必要

クラウド蓄電システムのミドルタイプ6.5kWhを選ぶメリット・デメリット2台設置して大容量の13.0kWhも可能だが、設置工事費は要確認

蓄電池容量を中規模の6.5kWhくらいでお探しの方には、他のメーカーが停電時の電気の供給タイプが特定負荷であるなかシャープは全負荷である点と、1kWhあたりの価格比較でも安い点から優位性があります。また、設置後の保証もさまざまあることもメリットかと思います。
一方で、6.5kWh を2台設置して自家消費の生活をしたいという方は、蓄電池の金額がどのくらい大きくなるのか、それに伴う設置工事費用もどうなるのかという点が短所です。

長所

特長でもご紹介したように、AIを活用したエネルギーの最適制御サービスや停電時の機能といった点が優れています。その他、設置後の保証サービスも充実しています。製品保証は無償で10年間ついていますが、46000円(税抜き)の有償で保証期間を15年までにすることができる点で設置後の長期保証を備えることができます。

短所

エネルギーの自給自足をするために10kWh以上の蓄電容量にするために、6.5kWh を2台設置して検討される場合は、金額が260万円の2台分で500万円程するのか、2台セット分の設置工事費用もどうなるのか、どうしても金額が大きくなってしまう点がデメリットです。
実際に10kWh以上の蓄電池では、スマートソーラーのハイブリッド型には11.5kWhがあり価格も115万円程なので価格もかなり抑えられます。

製品の仕様クラウド蓄電システムのミドルタイプ6.5kWh(型式:JH-WB1921)

クラウド蓄電池システム ミドルタイプ
型式 JH-WB1921
蓄電容量(kWh) 6.5
停電時機能①
電気供給エリア
全負荷
定価(本体価格のみ) 2,600,000
初期実効容量(kWh) 5.4
停電時機能②
200V機器使用
可能
停電時機能③
自立運転時出力
5.5kW
電力変換効率 (蓄電池)96.5%
クラウド見守りサービス あり
AIによる最適制御 あり
気象警報連動サービス あり
製品保証期間 10年※有償で15年あり
災害補償 なし
寸法 PCS:W666×H429×D201mm
蓄電池:W560×H575×D320mm
設置場所 蓄電池本体は屋外・屋内*兼用
蓄電池連携型パワーコンディショナは屋外設置
蓄電池用コンバータは屋外設置
設置可能範囲 重塩害地域では屋内に設置。屋内設置は別途屋内設置用金具(JH-WBD03)が必要。
重量 PCS:30kg
蓄電池:約74kg
冷却方式 冷却ファン
使用環境温度範囲 (PCS)-20℃~+40℃
(蓄電池)-10~+40℃
(推奨温度0~30℃)

*屋内に設置する場合は別途屋内設置用金具(JH-WBD03)が必要


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