田淵電機 家庭用蓄電池「EIBS(アイビス)7」の特長とは
田淵電機は変成器製品(トランス)やパワーコンディショナのなどの技術開発をメインとする電気機器メーカーで、2019年度のパワーコンディショナの出荷台数シェアもオムロンと並んでNo.1*です。2019年10月に東証一部上場のダイヤモンドエレクトリックホールディングス株式会社の100%子会社となりました。
田淵電機は「創エネ」「省エネ」「蓄エネ」の3つの技術を組合わせたエネルギーソリューションブランド「EneTelus(エネテラス)」というパワーコンディショナを2010年から提供しています。その「蓄エネ」にあたる家庭向けの蓄電システムとして「EIBS(アイビス)」があります。EIBSには単機能型はなく、ハイブリッド型のみで蓄電池容量4.0kWhの1つでしたが、2020年にはハイブリッドシステム7.04kWhの「EIBS7」が発売されたため、ここではEIBS7の特徴をご紹介します。
*出典:蓄電池専門誌「リチャージ」No.6 株式会社アスクラスト2020年7月発行
- 田淵電機 家庭用蓄電池のシェア
-家庭用蓄電システムのシェアは6%と第5位- - 田淵電機 家庭用蓄電池システム「EIBS(アイビス)7」の価格と特長
-5.5kVA高出力で全負荷型、3種類の選べるパワーコンディショナ- - 田淵電機 家庭用蓄電池を使うメリット・デメリット
-高性能のパワーコンディショナは長所だが設置工事費は現場調査をしてから算出- - 製品の仕様
-EIBS(アイビス)7のEKH3A-
田淵電機 家庭用蓄電池のシェア家庭用蓄電システムのシェアは6%と第5位
蓄電池とパワーコンディショナからなる蓄電システムのシェアは6%と第5位*となりますが、主要事業となるパワーコンディショナ単体のシェアでは24%とオムロンと並びNo.1*となります。
卒FITユーザーの方ですと、太陽光発電用のパワーコンディショナも10年が経ち寿命が近く、新しいパワーコンディショナに替えるタイミングでもあります。太陽光発電用と蓄電池用の両方を兼ね備えたハイブリッド型を準備することで、ハイブリッドパワーコンディショナと蓄電池をセット販売しやすくなります。
従来の訪問販売に加えて、大手ハウスメーカーや太陽光パネルメーカーへ提供することで住宅用蓄電システムの販売拡充をはかっています。
田淵電機 家庭用蓄電システム「EIBS(アイビス)7」の価格と特長5.5kVA高出力で全負荷型、3種類の選べるパワーコンディショナ
田淵電機の蓄電システムもまたオープン価格となっていますが、各社の販売店の情報では、蓄電システム本体価格は140~160万円*が相場のようです。
蓄電容量1kWhあたりの価格
メーカー名 | 蓄電容量(kWh) | 蓄電容量1kWhあたりの価格(万円) | 停電時供給タイプ |
---|---|---|---|
田淵電機 | 7.04 | 22.7~19.8 | 全負荷 |
シャープ | 6.5 | 40.0 | 全負荷 |
オムロン | 6.5 | 43.5 | 特定負荷 |
京セラ | 6.5 | 41.5 | 特定負荷 |
また、パワーコンディショナの製造を得意とするだけあって、ハイブリッドパワーコンディショナの機能は特長があります。また、製品保証10年が多いなか15年と長期間保証をしてくれる点と、蓄電池ユニットのサイクル数も12,000と長寿命です。
特長のポイント
パワーコンディショナの出力は一般的には3.0kVAとなるなか、5.5kVAと大きな出力のため太陽光発電や系統からの電力で高速で充電できますし、放電も同じく高いパワーで出力できるため一度に多くの電気機器を使えます。また、停電時は全てのコンセントが使用可能な全負荷で200V機器対応なので安心です。
また、パワーコンディショナは1種類が多いなか、5.5kW(3回路)、8.0kW(4回路)、9.9kW(5回路)の3機種を同一のサイズでラインアップしている点も特長です。これによって、7~8kW以上の太陽光パネルを設置されている家庭では蓄電池のパワーコンディショナは2台設置でしたが、田淵電機のパワーコンディショナなら1台で設置可能など場所をとりません。
機能1:パワーコンディショナの出力は5.5kVA
- パワーコンディショナの出力は5.5kVAと大きな出力のため、充放電は高速で大量に出力することができます。
- 一般的な3.0kVAだと、同時に使える機器は冷蔵庫やテレビやエアコン等に限られますが、最大5.5kVAだと他にもIH調理器や2台目のエアコンも同時に使えます。
機能2:停電時の機能は全負荷型で200V機器も使用可能
- 停電時は全てのコンセントが使用可能な全負荷でエアコンやIH調理器といった200Vの高い電圧機器も利用できます。
機能3:3種類のパワーコンディショナ
- 5.5kW(3回路)、8.0kW(4回路)、9.9kW(5回路)の3機種を同一のサイズで用意しています。そのため定格出力も、5.5kW、8.0kW、9.9kWと大きくなります。
機能4:製品保証15年で蓄電池のサイクル数12,000
- 蓄電可能容量が初期の60%を下回ると保証対象となる等、製品保証も15年と長期間となっています。また、蓄電池のサイクル数は12,000と計算上では約16年*の寿命となり製品保証と同等の寿命となります。
*1回の充放電は1サイクルです。田淵電機は1日2回充放電を行うため、1日2サイクルとなります。12,000サイクル÷(365日×2回)=16.4年間。
機能5:4種類の運転モードから選べる
- スマートモードは、安い深夜電力を貯めて発電量の少ない早朝に使用し、昼間の太陽光発電の余剰電力を貯めて発電量のない夜間に使用するといった、1日2回以上の充放電が可能です。
- 節エネモードは、昼間の太陽光発電の余剰電力を貯めて発電量の少ない夕方から使用することで電力会社からの買電を抑え、クリーンなエネルギーを活用します。
- ノーマルモードは、昼間の太陽光発電の余剰電力は全て売電して、安い夜間電力で貯めて発電量の少ない早朝に使用することで、FIT期間中の売電を優先します。
- 蓄電モードは、昼間の太陽光発電の余剰電力を貯めて、夜間でも安い深夜電力を貯めることで常に蓄電池を満充電の状態にすることで、急な停電に備えます。
システム構成機器
品名 | 形式 | 設置について |
---|---|---|
蓄電池ユニット | E0F-LB70-TK | 屋外 |
パワーコンディショナ | EHF-S55MP3B(3回路) EHF-S80MP4B(4回路) EHF-S99MP5B(5回路) |
屋外 |
田淵電機 家庭用蓄電池を使うメリット・デメリット高性能のパワーコンディショナは長所だが設置工事費は要確認
長所
卒FITユーザーの方でパワーコンディショナの寿命が近い方であれば、田淵電機の高性能パワーコンディショナに取り換えることはメリットだと思います。また、製品保証15年がついているため長期間の使用でも安心です。
また、4つの運転モードがあり、FIT期間中の方でも売電を優先してくれるモードがあるので、FITが満了せずとも導入できる点も選択肢の一つになります。
短所
一方で、ハイブリッド型蓄電システムに共通しますが、太陽光発電のパワーコンディショナと交換した後の処理費が余計にかかってきます。その追加工事費がどれくらいかかるのか細かい部分まで確認されることをお勧めします。
製品の仕様EIBS(アイビス)7のEKH3A
型式 | パッケージ型式:EKH3A 蓄電池:E0F-LB70-TK パワーコンディショナ:EHF-S55MP3B(3回路) |
---|---|
蓄電容量(kWh) | 7.04 |
停電時機能① 電気供給エリア |
全負荷 |
定価(本体価格のみ) | オープン価格 |
初期実効容量(kWh) | 6.2 |
停電時機能② 200V機器使用 |
可能 |
停電時機能③ 自立運転時出力 |
5.5kW |
電力変換効率 | 96% |
クラウド見守りサービス | あり |
AIによる最適制御 | なし |
気象警報連動サービス | なし |
製品保証期間 | 15年 |
災害補償 | なし |
寸法 | 蓄電池:W580×H1070×D370mm パワーコンディショナ:W445×H698×D198mm |
設置場所 | 屋外設置 |
設置可能範囲 | 海岸から500mを超える場所 |
重量 | 蓄電池:130kg パワーコンディショナ:30kg |
冷却方式 | 自然空冷 |
使用環境温度範囲 | 蓄電池:-10℃~+45℃ パワーコンディショナ:-20℃~+45℃ |