ニチコンの家庭用蓄電池のハイブリッド蓄電システムの特徴とは
ニチコンは1950年に設立され、設立当初からコンデンサと呼ばれる電気を蓄えたり放出したりする電子部品の開発・製造・販売を行ってる会社です。また、中国での生産・販売体制を整えるなどアジア地域を中心にグローバル展開も進め、海外の売上高は半数以上を占め世界的な販売戦略を進めています。
そのようなグローバルで活躍するなか、国内の家庭用蓄電システムにおいても累積販売台数はNo.1※1と国内でも高い実績を誇っています。家庭用蓄電システムには単機能タイプとハイブリッドタイプがありますが、ここではハイブリッドタイプ12kWh(型番: ESS-H2L1)の蓄電システムをご紹介します。
※1 ニチコンホームページより。2019年7月時点、ニチコン調べ。
- ニチコンの家庭用蓄電システムのシェア
-2019年度の出荷台数シェアは17%とシャープと並びNo.1を誇る- - ニチコンの蓄電池価格
-ハイブリッドタイプは希望小売価格420万円- - ハイブリッドタイプESS-H2シリーズの特長
-12kWhの大容量で、停電時の自立出力5.9kVAと高い出力- - ニチコンの蓄電池を選ぶメリット・デメリット
-ハイブリッドタイプESS-H2シリーズの長所・短所- - 製品の仕様
-ハイブリッドタイプESS-H2シリーズ-
ニチコンの家庭用蓄電システムのシェア2019年度の出荷台数シェアは17%とシャープと並びNo.1を誇る
家庭用蓄電システムの2019年度メーカー別出荷台数においてシャープが3年連続首位のなか、ニチコンが同率首位となりました。成長要因は大手ハウスメーカー向け開発した、太陽光発電と蓄電池とEV(電気自動車)が連携する「トライブリッド蓄電システム」が好調のようです。
ニチコンの家庭用蓄電システムには、単機能タイプは16.6kWh、12kWh、11.1kWh、ハイブリッドタイプには12kWh、8kWh、4kWhとあります。単機能型は訪問販売向けに、ハイブリッド型は大手ハウスメーカー用に開発されいます。ハイブリッドタイプのうち8kWh、4kWhは先ほどの「トライブリッド蓄電システム」用となっており、自家消費に必要とされる10kWh以上の蓄電容量がある12kWhの特徴をみてみたいと思います。
ニチコンの蓄電池価格ハイブリッドタイプは希望小売価格420万-
ハイブリッドタイプで10kWh以上は12kWhが1種類ですが、単機能では11.0kWh、12.0kWh、16.6kWhと3種類あり、希望小売価格で320~420万円が相場といえます。どのメーカーでもハイブリッドは単機能に比べて値段が高くなる傾向にあり、ニチコンのハイブリッドは3種類のなかでも割高に見えてしまいますが、停電時には家じゅうのコンセントが使える全負荷型なのと、アフターサービスは製品保証が15年、自然災害補償が10年付いている点は特長だといえます。
ニチコンの蓄電池比較
タイプ | ハイブリッド | 単機能 | 単機能 | 単機能 |
---|---|---|---|---|
型番 | ESS-H2L1 | ESS-U2M1 | ESS-U2L | ESS-U2X1 |
蓄電容量(kWh) | 12.0 | 11.0 | 12.0 | 16.6 |
停電時の電気供給エリア | 全負荷 | 特定負荷 | 特定負荷 | 特定負荷 |
製品保証期間 | 15年 | 10年 | 15年 | 10年 |
自然災害補償期間 | 10年 | なし | なし | 10年 |
定価(税抜き) | 4,200,000 | 3,200,000 | 3,700,000 | 4,000,000 |
ハイブリッドタイプESS-H2シリーズの特長12kWhの大容量で、停電時の自立出力5.9kVAと高い出力
ハイブリッドと単機能の違いは、蓄電池のパワーコンディショナが独立してあるのか、それとも太陽光のパワーコンディショナに併設されているかです。ハイブリッドの場合、蓄電池と太陽光のパワーコンディショナが1台となっており、太陽光パネルからの電気変換ロスが少ないのが特長です。
特長のポイント
ニチコンのハイブリッドタイプ12kWhは大容量の蓄電容量であること、停電時の自立出力が5.9kVAと他のハイブリッドタイプの中でも一番高い出力であることが特長です。また、売電を優先した運転(経済モード)と自家消費を優先した運転(グリーンモード)があるため、FIT期間中の方でもギリギリまで余剰電力を売電し、FIT満了後は自家消費へとシフトできる点で、FITユーザーの幅広いニーズに応えています。
機能1:12kWhの大容量蓄電池と太陽光充放電5.9kVAの高出力
- 蓄電容量は12kWhと大容量だから、太陽光発電で創られ使用して余った電気を余すことなく貯められます。
- また、太陽光充放電5.9kWと高い出力であるため、電気を短時間でしっかり蓄え、必要な時に電気を使用できます。
機能2:売電を優先した経済モード、電気の自給自足を優先したグリーンモード
- 夜間の安い電気を蓄電システムに蓄えておき、朝方や夕方に電気を活用します。昼間は太陽光発電からの電気を使いながら、余剰電力は全て売電する、売電を優先した経済モードがあります。
- 一方で、昼間は太陽光発電からの電気を使いながら、余剰電力は蓄電システムに貯めて朝夕の使用ピーク時に使用する、電気の自給自足を優先したグリーンモードがあります。
機能3:停電時は電気を自動供給し家じゅうのコンセントが使用可能
- 停電時は、自動で蓄電システムからの電気を供給し、かつ家じゅうのすべてのコンセントが使用できる全負荷。また5.9kVAの高出力でIH調理器やエアコンなどの200Vの高い電圧も使えるため安心です。
機能4:災害に備える「気象警報対応運転サービス」※
- お住まいの地域に大雨、暴風等の気象警報が発令されたら、見守りサービスのサーバーを経由して自動で蓄電システムを満充電にして停電に備えます。
※事前確認書で見守りサービスへ加入いただいた方が対象
システム構成機器
品名 | 形式 | 設置について |
---|---|---|
蓄電池ユニット | ESS-H2L1 | 設置場所:屋外 (塩害対応) / 設置可能温度範囲: -30℃ 〜 +40℃ / 運転可能温度範囲:-20℃ 〜 +40℃ |
リモコン | ESS-R5 | 設置場所:屋内 / 運転可能温度範囲: 0℃ 〜 +40℃ |
ニチコンの蓄電池を選ぶメリット・デメリットハイブリッドタイプESS-H2シリーズの長所・短所
長所
特長でも触れましたが、12kWhの大容量の蓄電池であるためFIT終了後の自家消費が実現できる点と、停電時でも普段と変わらない生活を送ることができる5.9kVAの高出力が長所です。
また、マイナス30度の酷寒地域でも運転可能なことや、大雨や暴風といった気象警報が発令されたら予め蓄電システムを満充電にする「気象警報対応運転サービス」、自然災害補償10年間がある点は、昨今の異常気象がもたらす大きな環境変化に備えた性能やサービスであるため安心です。
短所
お客様のニーズに合った製品でありサービスではあるのですが、費用が400万円超えと高額になるのが難点です。同じハイブリッド型で12.0kWhに近しい他メーカーの蓄電容量1kWhあたりの単価で比較してもニチコンは割高だとわかります。製品を買って経年で元を取るというよりは、自然災害や停電時の備え、電気の自給自足の生活を行いたい、FIT満了までギリギリまで売電を行いたいという目的をもって検討されることをお勧めします。
蓄電容量1kWhあたりの価格
メーカー名 | ニチコン | スマートソーラー | ネクストエナジー・アンド・リソース |
---|---|---|---|
タイプ | ハイブリッド | ハイブリッド | ハイブリッド |
型番 | ESS-H2L1 | SBG4-12A | NXS-MHESS001 |
蓄電容量(kWh) | 12.0 | 11.8 | 10.24 |
停電時の電気供給エリア | 全負荷 | 全負荷 | 全負荷 |
製品保証期間 | 15年 | 15年(有償) | 10年 |
自然災害補償期間 | 10年 | 10年 | 10年 |
定価(税抜き) | 4,200,000 | 1,488,000 | 3,250,000 |
蓄電容量1kWhあたりの単価比較 | 350,000 | 126,101 | 317,382 |
製品の仕様ハイブリッドタイプESS-H2シリーズ
型式 | ESS-H2L1 |
---|---|
蓄電容量(kWh) | 12.0 |
停電時機能① 電気供給エリア |
全負荷 |
定価(本体価格のみ) | 4,200,000円 |
初期実効容量(kWh) | 10.3 |
停電時機能② 200V機器使用 |
可能 |
停電時機能③ 自立運転時出力 |
5.9kW |
電力変換効率 | (太陽光/蓄電池)95%/94% |
クラウド見守りサービス | あり |
AIによる最適制御 | なし |
気象警報連動サービス | あり |
製品保証期間 | 15年 |
災害補償 | あり(10年) |
寸法 | 蓄電ユニット:W1060×H1250×D300mm リモコン:W170×H140×D23.1mm |
設置場所 | 屋外設置 |
設置可能範囲 | 海岸から300m以上(外海は1km以上)離れた場所に設置 |
重量 | 257kg |
冷却方式 | 強制空冷方式 |
使用環境温度範囲 | 設置可能温度範囲:-30℃~+40℃ 運転可能温度範囲:-20℃~+40℃ |