オムロンの家庭用蓄電池のハイブリッド蓄電システムの特長とは

オムロンと言えば、体重計や体温計を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。創業は1933年と歴史ある会社です。売上の多くは制御機器事業と電子部品事業が半数以上を占め、消費者に馴染みのあるヘルスケア事業は1割程度となっています。そして、環境関連機器・ソリューション事業として、太陽光発電用パワーコンディショナや蓄電システムといった家庭用向けの製品も販売しています。

オムロンの家庭用蓄電システムには、ハイブリッドタイプ(蓄電池ユニット+DC/DCコンバータ+太陽光発電と蓄電池ユニット兼用のパワーコンディショナ)と単機能設置タイプ(蓄電池ユニット+蓄電池ユニット用のパワーコンディショナ)の2つがあり、ここではハイブリッドタイプのKP55Sシリーズの特長を、ご紹介をさせていただきます。

オムロンの家庭用蓄電システムのシェア蓄電システム、メーカー別の出荷台数はトップシェア

蓄電システムのメーカー別シェア2019年度ではオムロンは9%(2020年7月発行 蓄電池専門誌リチャージ調べ)とトップシェアを誇っています。
これまで太陽光パネルメーカーを中心に安定したOEM(Original Equipment Manufacturer:他社ブランドの製品を製造すること)供給を続けてきましたが、最近では大手エネルギーマネジメントシステム機器の商社や家電量販店などの販売網を新たに構築し裾野を広げています。昨今でも月間2,000台以上の生産ペースとなっており堅調な成長を見せています。

オムロンの蓄電池価格相場ハイブリッドタイプは283万円で販売(販売会社:長州産業)され高い

オムロンのハイブリッドタイプは、代理店販売のためオープン表示となっており、各販売会社で設定されている金額のため金額が様々です。なお、オムロンは長州産業にOEM供給をしており長州産業のホームページ(2020年6月18日時点)を見ると、蓄電システム本体の255万円にケーブルや分電盤等の部材として28万円をセットで購入することになり、価格としては283万円(税抜き)となっています。
この価格を蓄電容量の1kWhあたりの価格で示した表が、ハイブリッドタイプの蓄電容量あたりの価格です。ご覧のとおり蓄電容量あたりの価格は40万円台と高い分類にあたります。
一般的に蓄電池の価格相場は蓄電容量と比例して価格も高くなりますが、オムロンのハイブリッドタイプの蓄電容量は6.5kWhと1つしかないので、販売会社で金額が確認できたら、他メーカーで同じくらいの蓄電容量の蓄電システムと比較して相場を見極める方法もあります。

ハイブリッドタイプの蓄電容量1kWhあたりの価格

メーカー名 蓄電容量(kWh) 蓄電容量1kWhあたりの価格(万円) 停電時供給タイプ
オムロン 6.5 43.5 特定負荷
ニチコン 12 35.0 全負荷
スマートソーラー 11.5 10.0 全負荷
パナソニック 5.6 30.7 特定負荷
シャープ 4.2 42.8 特定負荷

ハイブリッド蓄電システム KP55Sシリーズの特長世界最小で最軽量の蓄電池ユニットだから屋内でもコンパクトに設置可能

卒FITユーザーの方であれば、既に設置されている太陽光発電用のパワーコンディショナの保証期間10年が近くになり、今後の耐用年数が気になるかと思います。ハイブリッドタイプですと太陽光発電用と蓄電池用を1台で兼ね備えているため、FIT終了のタイミングでパワーコンディショナも新しくすることができます。

特長のポイント

オムロンのハイブリッド蓄電システムのKP55Sシリーズの特長は、幅が約45㎝と奥行12㎝と世界最小のサイズで、重さも約52kgと最軽量というコンパクトな蓄電池ユニットのため屋内に設置しても邪魔になりにくい点です。
また、太陽光発電と蓄電池ユニット兼用のパワーコンディショナとDC/DCコンバータは壁掛け設置となるため、豪雨による浸水も心配することはありません。

機能1:蓄電池ユニットとパワーコンディショナを活用して電気のムダをなくす

  • パワーコンディショナの定格容量5.5kWを超えた発電した分は最大6.5kWまで蓄電池ユニットに貯めることができるので、電力を有効活用できます。
  • 出力制限等によって売電できない場合の余剰電力は蓄電池ユニットに貯めることで、太陽光で創った電力をムダにしません。

機能2:停電時は一部のコンセントから家電製品を約19時間使用できます

  • 昼間に停電時した場合は、太陽光で創られた電気は家庭の一部のコンセントで使えるように電気を供給しながら、蓄電池への充電も行うことができます。
  • 停電復旧が長時間にわたっても蓄電池が満充電であれば、次のような家電製品が約19時間*使えます。(*なお消費電力量で異なるため、動作時間を保証するものではありません)

機能3:売電から自家消費までニーズによって選択できる運転モード

  • 売電優先の経済モードは、昼間の余剰電力は売電して、前日の夜間電力を蓄電池に充電することで、朝と夕方は蓄電池からの電気を使います。夜間の安い電力を蓄電に貯めながらも、太陽が出ている日中は売電することで電気代を節約します。
  • 安心モードは、万が一の停電に備えるため蓄電池の残量をある一定量確保することで、夜間や太陽が出ていない昼間の停電でも蓄電池からの電気を使えるようにします。(確保する一定量は設定で変更可能となっています)
  • グリーンモードは、余剰電力を蓄電池に貯めて、朝夕のみならず夜間にかけて、蓄電池からの電気の供給を可能にする自家消費優先のモードです。

機能4:従来から改良することで高い性能とコンパクト化を実現

  • ハイブリッドパワーコンディショナの改良
    ハイブリッドパワーコンディショナは、大容量化が進む家庭用太陽光発電システムに対応するため、従来品のKP48Sの4.8kWよりも0.7kW容量アップしたKP55Sが新たに開発されました。従来よりも出力が約15%アップすることで、発電をより無駄なく活用することができます。
  • 蓄電池ユニットの改良
    屋内に設置する蓄電ユニットは省スペースを実現するため従来品のKP-S-B64よりも奥行は45㎜ダウンすることで、30%薄型化となり、さらにコンパクトになりました。また、重量を52kgに軽量化したことで設置工数や設置工事費用を大幅に削減できました。
    オムロンの2017年2月時点の調べによると、当サイズは世界最小サイズとのことです。
  • ハイブリッドパワーコンディショナとDC/DCコンバータの改良
    海岸から500M以内で、直接、海水しぶきかかからない場所なら設置可能な重塩害対応タイプも揃いました。

システム構成機器

品名 形式 設置について
蓄電池ユニット KP-BU65-A 屋内・壁面に床置き・ネジ止め
ハイブリッドパワーコンディショナ KP55S3-HY-3A/4A
(一般タイプ)
海岸から500mを超える地域の屋外に設置*1
KP55S3-SHY-3A/4A
(重塩害対応タイプ)
海岸から500m以内の重塩害地域にも設置可能*1
DC/DCコンバータ KP-S3-D22
(一般タイプ)
海岸から500mを超える地域の屋外に設置*1
KP-S3-SD22
(重塩害対応タイプ)
海岸から500m以内の重塩害地域にも設置可能*1
特定負荷用分電盤 KP-S-S20 屋内・壁面取付

*1 海水の波しぶきが直接かからない場所、直射日光が当たらない場所、揮発性、可燃性、腐食性およびその他の煙、ガスにさらされない場所等に設置してください。詳しくは必ず施工マニュアルでご確認ください。

オムロンの蓄電池を選ぶメリット・デメリットハイブリッド蓄電システムのKP55Sシリーズの長所・短所

長所

製品の特長でもご紹介しましたが、オムロンの蓄電池ユニットは屋内に設置するということもあり、ハイブリッドタイプで奥行きが12cm、単機能設置タイプの大きいものでも奥行きが約23cmとコンパクトです。また、オムロンの他シリーズの蓄電容量では、さらに小さい蓄電池ユニットであり壁掛けも用意されているものもあり、オムロンの蓄電ユニットは総じてコンパクトであることから家庭用としては導入しやすいことがメリットです。
また、重塩害に対応した重塩害対応タイプも開発されたため、海岸から500m以内で直接、海水しぶきがかからない場所なら設置できるため、海の近くにお住まいの方には検討しやすいです。

短所

停電時の機能が弱いという点です。同じハイブリッドタイプの他社製品と比較して、停電時の機能が劣っている点が懸念されます。停電になった場合の自立時の出力を表す電力が他社であれば2kVA~5.9kVAとあるのに対し、オムロンのKP55Sシリーズは1.5kVAと出力が最小となっており、停電時には200Vの電圧機器の使用は不可です。
また、停電時は特定のコンセントしか使用できない特定負荷タイプとなるため家じゅう全てのコンセントは使用できません。
そして、長州産業からオムロン製品を購入すれば、製品保証15年が最初からついているため、オムロンから直接製品を購入することがベストだと言えません。

製品の仕様KP55Sシリーズのパッケージ型番

基本パッケージ
パッケージ型番 KP55S3-PKG-MM3
KP55S4-PKG-MM3
KP55S3-PKG-SMM3(重塩害対応タイプ)
KP55S4-PKG-SMM3(重塩害対応タイプ)
蓄電容量(kWh) 6.5
停電時機能①
電気供給エリア
特定負荷
定価(本体価格のみ) オープン
初期実効容量(kWh) 5.4
停電時機能②
200V機器使用
不可
停電時機能③
自立運転時出力
1.5kW
電力変換効率 (太陽光/蓄電池)96%/非公表
クラウド見守りサービス なし
AIによる最適制御 なし
気象警報連動サービス なし
製品保証期間 10年
災害補償 なし
寸法 PCS:W650×H493×D222mm
DC/DC:W420×H493×D222
蓄電池ユニット:W452×H656×D120mm
特定負荷分電盤:W536×H320×D95mm
設置場所 PCSは屋外設置
蓄電池ユニットは屋内設置
設置可能範囲 海岸から500mを超える場所
(重塩害対応タイプは海岸から500m以内で直接、海水しぶきがかからない場所)
重量 PCS:約29kg、
DCDCコンバータ:約16㎏
蓄電池ユニット:約52kg
特定負荷分電盤:約5.4kg
冷却方式 自然空冷
使用環境温度範囲 PCS:-20℃~+50℃
蓄電池:-10℃~+40℃


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