伊藤忠商事の家庭用蓄電池のスマートスターL(Smart Star L)の特長とは

伊藤忠商事株式会社は大阪に本社を置き、設立当初の1950年代は繊維業から世界にも名をはせ、現在では機会・金属・エネルギー・化学品・食料・住生活・情報・金融として成長しています。

エネルギー分野では、家庭用蓄電システムのニーズに応え事業拡大をはかるため、これまで共同開発・事業推進してきた株式会社エヌエフ回路設計ブロックとの合弁会社を株式会社NFブロッサムテクノロジーズとして2019年12月に設立し、販売を伊藤忠商事、製造を合弁会社のNFブロッサムテクノロジーズと分業しています。
伊藤忠商事から発売されてる家庭用蓄電システムにはハイブリッド型はなく、単機能型のスマートスターL(Smart Star L)1種類となっています。ここではスマートスターLの特徴についてご紹介します。

メーカー別出荷台数のシェアは15%で2位

スマートスターLは蓄電池業界ではその知名度は高く、製造を行うNFブロッサムテクノロジーズや販売を行う伊藤忠商事の名前はあまり表に出てきません。
販売を担う伊藤忠商事ですが訪問販売店での取扱が主流のようで、2019年度の家庭用蓄電システムのシェア*では、15%と上位2位となっています。実はスマートスターLは同じ商品を型式や外観を変えて、ネクストエナジーやDMM.comでも販売されています。
*出典:蓄電池専門誌「リチャージ」No.6 株式会社アスクラスト2020年7月発行

スマートスターL(型式:LL3098HOS)の希望小売価格は285万円

スマートスターLの希望小売価格は285万円(税抜)となっていますが、多くの会社が販売するようになり、工事代込みで200万円を切っていることもあるようです。
なお、スマートスターLと同じ商品は、ネクストエナジー・アンド・リソースのiedenchi-NX、DMM.com のDMM.make smartとなります。DMM.make smartはスマートスターLと同じ希望小売価格は285万円で、ネクストエナジー・アンド・リソースのiedenchi-NX は希望小売価格は293万円で

同じ単機能型で蓄電容量9.8kWhのオムロンと長州産業の価格を比較して見てみると、各社大きな開きはありませんでしたが、停電時の自立出力の大きさはオムロンと長州産業が2kVAであるのに対し、伊藤忠商事は3kVAと優性でした。

蓄電容量9.8kWh(単機能型)の価格比較

メーカー名 商品名 蓄電容量(kWh) 自立時出力(kVA) 価格(円)
伊藤忠商事 スマートスターL 9.8 3 2,850,000
ネクストエナジー・アンド・リソース iedenchi- NX 9.8 3 2,930,000
DMM.com DMM.make smart 9.8 3 2,850,000
オムロン 住・産共用フレキシブル蓄電システム 9.8 2 3,020,000
長州作業 フレキシブル蓄電システム 9.8 2 2,970,000

比較的大きな蓄電容量9.8kWhで停電時に太陽光発電を最大6.0kWまで使用可能

一般家庭の平均的な消費電力をまかなえるよう蓄電容量は9.8kWhとしています。家庭用蓄電池の平均搭載容量が5kWh~6kWh台くらいのなか、9.8kWhと比較的大きな蓄電容量となっています。また、停電時には全てのコンセントが使用可能な全負荷であり200Vの家電製品も使用可能なためオール電化の家庭にも最適です。さらに、停電時に太陽光発電から最大6kWまで出力可能なため、5~6kW以上の太陽光パネルを設置されている家庭にも適しています。

特長のポイント

蓄電容量が9.8kWhと大きいことや停電時の機能も充実している点も優れていますが、中でも停電時は一般的には太陽光発電から1.5kW、蓄電池から2.0kWまで放電可能なメーカーがあるなかスマートスターLは蓄電池から3.0kW、さらに太陽光発電から最大6.0kW、両方合わせて9.0kWまで稼働できる点が特長です。FITユーザーは売電を目的としている方が多くたくさんの太陽光パネルを設置されている方もいるため、停電時に最大9kWまで出力可能な点は、家じゅうの電気が使える全負荷型において停電を感じさせない生活を実現できます。

機能1:蓄電容量9.8kWhと1日の電気消費量がまかなえる

  • 蓄電容量は一般家庭の平均的な消費電力をまかなえるよう9.8kWhとなっています。
  • 例えば、蓄電池が満充電だと下記の家電製品が下記の稼働時間使えることになります。

蓄電池が満充電の状態で使える機器・時間の目安

炊飯器 1時間
冷蔵庫 24時間
42型テレビ 6時間
電子レンジ 1時間
エアコン 3時間
天井LED照明 5時間

機能2:停電時は家じゅうのコンセントが使用可能な全負荷で200V も対応

  • 停電になった場合でも家のすべてのコンセントが使用可能な全負荷型です。また200V機器も対応可能なため、IH調理器、エアコン、エコキュート、エネファーム(燃料電池)も使用可能です。
  • また、蓄電池を使い切った場合でも3時間あればフル充電されるので停電時には安心です。

機能3:AI機能「Grid Share」によって蓄電池の充放電を最適化

  • 人工知能のAI「Grid Share」が翌日の天候と日々の行動パターンから、翌日の電気使用量と太陽光の発電量を予測します。
  • 例えば、翌日が晴れた平日の場合、家族は学校や仕事へ向かい、家庭での電気使用量は少なく、昼間の太陽光発電量も十分と予測され、前日には深夜の安い電力の蓄電量を少なくするようAIが蓄電池に指示します。

機能4:停電時に太陽光発電から6kWまで出力可能

  • 停電になっても自立運転の動きにはならず、太陽光発電は通常運転を続けるため6kWまで稼働することができます。

システム構成機器

品名 形式 設置について
蓄電池 LL3098HOS 定置型・屋外

9.8kWh大容量蓄電池と停電時の機能が長所、AI機能の月額1200円をどう思うか

スマートスターLは自家消費に相応しい9.8kWhの大容量蓄電池であり、停電時の機能も充実していて普段と変わらわない生活ができるため特長です。希望小売価格が285万円で工事代込みの販売価格は200万円をきって販売している会社もあるため複数の会社で見積もりをとる必要がありそうです。

長所

9.8kWhの大容量蓄電池に加え、停電時の全負荷・200V機器の対応、太陽光発電を最大6kW使用できる充実した機能です。また、人工知能のAI「Grid Share」により蓄電池の最適制御や気象特別警報や気象警報が発令されると停電に備えて蓄電池が自動で充電を開始するという、今の時代に相応しい機能があります。

短所

一方で、希望小売価格が293万円であるため、200万円をきる等できるだけ安く販売してくれる販売会社を見つけることが重要です。また、人工知能のAI「GridShare」のサービスは無償提供ではなく、月額1200円かかり、最初の2年間は必ず入らなくてはいけないサービスのため2年間の合計28,800円を支払う必要があるため、不要という方にはデメリットです。

スマートスターL(型式:LL3098HOS)

基本パッケージ
パッケージ型番 LL3098HOS
蓄電容量(kWh) 9.8
停電時機能①
電気供給エリア
全負荷
定価(本体価格のみ) 2,850,000
初期実効容量(kWh) 7.5
停電時機能②
200V機器使用
可能
停電時機能③
自立運転時出力
3.0kW
電力変換効率 95%
クラウド見守りサービス あり
AIによる最適制御 あり ※月額1200円
気象警報連動サービス あり
製品保証期間 10年
災害補償 有り(10年)
寸法 蓄電池:W762×H1145×D440mm
※パワーコンディショナは蓄電池に内蔵
設置場所 屋外設置
設置可能範囲 海岸から500m以上(外海は1km以上)離れた場所に設置
重量 蓄電池:約195kg(脚部含む)
冷却方式 ファンによる強制空冷(内部温度40℃以上でファン稼働)
使用環境温度範囲 -10℃~45℃


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