テスラの家庭用蓄電池の単機能型蓄電システムの特長とは

テスラはアメリカのシリコンバレーを拠点に電気自動車(EV)や関連商品、ソーラーパネルや蓄電池等の開発・販売を行っている会社で、2003年に創業されました。
2008年からイーロン・マスク氏が代表をつとめ電気自動車の代名詞ともなっています。
そのようなテスラから家庭用蓄電池のPowerwall(パワーウォール)が欧米を中心に2015年に発売され、日本でも2020年から発売されています。家庭用蓄電池の出荷台数は日本メーカーが占めてるため、海外からの家庭用蓄電池の参入とだけあって黒船来航とまで言われました。ここでは日本で発売されているPowerwallの特徴をご案内します。

世界におけるテスラの家庭用蓄電システム初代Powerwallは2015年に欧米等で発売され日本は2世代目の商品

初代Powerwallは2015年にアメリカ、ドイツ、イタリア、ニュージーランド、オーストラリアなど18か国で販売されヒットしました。今回日本で発売されるのはその2世代目ということですが、初代Powerwallと日本で発売されている2世代目の違いは外観の変更のみでスペックについて変更は特に無いようです。

テスラの蓄電池価格相場単機能型蓄電システムのPowerwallは本体99万円と圧倒的な低価格

日本で発売されているPowerwallは単機能型の1つのみです。蓄電容量13.5kWhと大容量でありながら本体価格は99万円と圧倒的な安さです。
蓄電容量13.5kWhに近い単機能型蓄電システムの1kWhあたりの価格を調べてみると、圧倒的な低価格であることがわかります。

単機能型タイプの蓄電容量1kWhあたりの価格

メーカー名 蓄電容量(kWh) 蓄電容量1kWhあたりの価格(万円) 停電時供給タイプ
テスラ 13.5 7.3 全負荷※
ニチコン 12.0 26.6 特定負荷
スマートソーラー ストレージ・システム 11.8 10.0 全負荷

※電力会社との契約が80A以内であれば全負荷タイプ、80Aを超える契約の場合は特定負荷タイプを推奨。

日本におけるテスラの家庭用蓄電システムの販売と設置時期2018年から順次受付開始をしており設置済みユーザーもホームページで開示

日本におけるPowerwallの予約申込みは、2018年から開始しています。その後、設置する施工店の構築や安全のための認証試験が取得を進めており、2020年8月にはPowerwallを設置したユーザーもホームページで開示しています。なお、2020年9月時点でも、JET部品認証※が取得できていないため国や各自治体の補助金対象商品とはなりませんので注意が必要です。

※JET部品認証とは:リチウムイオン蓄電池(単電池)について、技術基準の該当する項目への適合性(試験)と工場の品質管理体制(工場調査)を確認し、認証します。認証された単電池には、JET部品認証マークを表示できるほか、組電池に搭載された際には、単電池に関する技術基準への適合性が確認されているため、当該試験が省略され、組電池の試験料金の軽減と試験期間の短縮が図れます。(一般財団法人 電気安全環境研究所 WEBサイトより)

単機能型蓄電システムのPowerwallの特長停電時は5kWの高出力200V機器も使用可能で大容量13.5kWhが本体99万円と低価格

Powerwallは大容量の13.5kWhでありながら、本体価格が99万円をきるという低価格であることが注目されていますが、停電時の機能やアプリからモニタリングや運転モードの設定変更ができるなど価格だけではない特長があります。

特長のポイント

蓄電池の容量は13.5kWhとFIT満了後の自家消費ニーズにあった大容量となっています。また停電時は、停電時の自立運転の際の出力は5kWとなっており、これは電気の契約アンペアが50アンペアで同時に電気が使えることと同じなので高い出力となっています。大型エアコンやIH調理器等の200V機器も利用可能で、全ての部屋のコンセントが使えることから普段と変わらない生活を送ることができます。

従来のメーカーであれば固定のモニターが用意されることが多いなか、テスラはアプリによって太陽光発電やPowerwallの稼働状況、電気の使用状況や運転モードの設定変更もアプリからできるため、いつでもどこでも確認や設定ができるので安心で便利です。

機能1:蓄電池は13.5kWhでパワコンディショナは内蔵されている

  • テスラでは1日あたりの電力使用量を15kWhと想定し、蓄電池の容量を13.5kWhと設定。パワコンディショナは内蔵されています。
  • また、設置場所は屋内外問わず、床置き壁掛けどちらも可能となっています。

機能2:停電時は5kWの出力で200V対応、全負荷タイプ

  • 災害時等で停電が発生した場合には自動でPowerwallからの電気の供給に切り替わることになっています。また5kWの高い出力で200V機器にも対応し、家じゅうのコンセントが使用可能な全負荷タイプです。なお、電力会社との契約が80A以内であれば全負荷タイプですが、80Aを超える契約の場合は特定負荷タイプが推奨されているようです。

機能3:アプリ「Tesla app」で電気の充放電をモニタリングし運転モードの切替え可能

  • 充放電の制御と通信機能を担うBackup Gatewayを設置することで、アプリをダウンロードしたスマートフォンでの制御管理が可能となります。太陽光パネルからの発電やPowerwallの充放電、運転モードの切り替えがアプリで行えます。

システム構成機器

品名 価格 設置について
Powerwall 825,000円 屋外・床置き/壁掛け
Backup Gateway 165,000円 屋外・床置き/壁掛け

テスラの蓄電池を選ぶメリット・デメリット本体は低価格だが工事費込みだと154万円となる想定で、充放電回数は非公表なので注意

テスラの本体価格は、蓄電容量が13.5kWhと大容量でありながら 99万円と圧倒的な低価格でインパクトはありますが、設置工事費が別途400,000円 〜 550,000円かかり、154万円(本体99万円+設置工事55万円)となる想定ですが、施工会社によっては工事費込みで170万円~200万円と販売されているようなので、現地調査の際に詳しく施工にかかる費用の確認をされることをお勧めします。また充放電回数が非公表のため、どのくらい使用できるのか未知であることがデメリットでしょうか。

長所

特長でもご紹介したように、停電時は5kWの高出力200V機器も使用可能で大容量13.5kWhと様々な特長ある機能をもちながら本体価格は99万円と低価格であることが魅力ですが、その他にもスタイリッシュなデザインとコンパクトな点も日本メーカーにはあまり見られてない点で長所であると思います。壁掛けが設置可能なので、豪雨などの浸水リスクも減ります。

短所

一方で、本体価格とは別に設置工事費用がテスラのホームページでは400,000円 〜 550,000円となってることと、この費用には遠方での作業費は含まれないことから離島等のお客様には負担がさらに増えることになります。設置方法は床置きまたは壁掛けのどちらも対応していますが、本体の重量が114kgあるため、木造住宅の壁では補強が必要になり、さらに工事負担も増える可能性があります。
また、充放電回数いわゆるサイクル数等が開示されていないため寿命がわかりかねますが、Powerwallの電池の種類はリチウムイオン電池で、この種類の電池の寿命は約10年とされています。製品保証10年間には蓄電池の充電可能容量が70%未満になった場合は交換するということなので、設置から11年以降の蓄電容量の減少に注意しなくてはいけません。

製品の仕様単機能型蓄電システムのPowerwall

型式
蓄電容量(kWh) 13.5
停電時機能①
電気供給エリア
全負荷
定価(本体価格のみ) 990,000
初期実効容量(kWh)
停電時機能②
200V機器使用
可能
停電時機能③
自立運転時出力
5kW
電力変換効率 (蓄電池)90%
クラウド見守りサービス あり
AIによる最適制御 あり
気象警報連動サービス あり
製品保証期間 10年
災害補償 なし※但し、販売店経由では有り。
寸法 Powerwall:W753mm x H1150mm x 147mm
Backup Gateway:W380×H584×D127mm
※Backup Gatewayは分電盤とスマートメーターの間に設置
設置場所 屋外または屋内に設置、床置きまたは壁掛け
設置可能範囲 海岸から1kmを超える場所
重量 Powerwall:114kg
Backup Gateway:9.8kg
冷却方式 水冷式
使用環境温度範囲 -20~+50℃(推奨温度0~30℃)


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